「哀愁演歌」
1999 July8
Words By Kenji Kanno!


初めて逢って
あなたを誘ったカクテル酒場
鮮やかなカクテル色が
燃える唇に触れ
シャイなあなたが華やいで
二十歳の瑞々しい顔が
微笑んでいる

生まれたばかりのカラオケで
誰もが歌手になりきって
思い思いに歌っている

あなたもわたしも演歌を歌った
およばぬことと あきらめました」
だけどこいしい あのひとよ」
切ない節回しであなたが歌う

はるばるきたぜ はこだてへ」
さかまくなみを のりこえて」
伸びやかな声でわたしが歌う

お互いに二十歳そこそこで
演歌を歌うアンマッチ
老いも若きも
演歌が好きな時代だった


演歌は日本人の心を
ストレートに表現できる
分かりやすい歌である

その時のあなたが歌う
「雨に咲く花」が
妙に心に染みて
わたしの心を離さない


可愛い顔の裏側に
切ない人生を感じて
ジーンとしてしまったわたしには
もうあなたは
心の女(ヒト)になってしまった


初めて逢って結ばれて
夢と現が重なった
若い情熱


それから二十数年
今連れ添うあなたは
紛れもないあの時の
二十歳の演歌歌手


「およばぬことと あきらめました」
「だけどこいしい あのひとよ」
「ままになるなら いまいちど」
「ひとめだけでも あいたいの」


いつ聞いても
心の吟線を振るわせる
哀愁演歌である


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