「秋の匂い」

1999 Sept.18

Words By Kenji Kanno!


穏やかな空気の中に

鈍く浮かぶ朝焼けが

獏とした心の澱みを募らせ

気だるさを顕にする

秋の匂い


いつということはなく

決して今ではない

秋を思うとき

この気だるさが蘇る

それは青春そのものかもしれない


音楽室のピアノを奏でた15歳の秋

勉強よりも読書を選んだ18歳の秋

愛して別れた20歳の秋


秋の匂いが

それぞれのシーンを包んでいる

それは決して快いものではない

覇気のない物悲しい気だるさが

青春に疲れた

哀れな男を包んでいるのだ


秋の物悲しさはデカダンス

怪しい魅力を匂わせて

深く心に染み渡る


今日もひとり

秋の匂いに青春を愉しむ


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