「安泰と苦悩」
1999.Ｍａｙ1４
Ｗｏｒｄｓ Ｂｙ Ｋｅｎｊｉ Ｋａｎｎｏ！
数兆個の細胞の集積体
めまぐるしく分裂を繰り返す
再生と死
一波長８０年の
人生物語を支える肉体を
ミクロの波長の一つ一つが
壮大なドラマを演じながら
築いて行く
取るに足らない細胞の
ミクロの位相を取り出せば
神秘的なＤＮＡが
偉大な生命の不思議を
垣間見せる
半波長を既に過ぎた
我が人生の位相を取り出せば
ＤＮＡが肉体と精神気質を
何物にも影響されず
整然とした美しさで
創造する驚異とは裏腹に
羅針盤に従わず
自由奔放支離滅裂な
人生航路を欲し
荒波に苦しむ我がいる
設計図を持つ肉体と
何物にも束縛されない精神は
相反するのか
残りの半波長を
どう生きれば良いのだろう
ＤＮＡの設計図か
束縛のない精神世界か
安泰と苦悩は共存し
攪拌されて
選択不可能な物語となる
人生とはそういうものだ