「雨の降る朝」
1999 June5
Words By Kenji Kanno!

雨の降る朝

君にさよなら


三年暮らしたアパートを

振り返りもせずに駈けて行く


悲し過ぎるから

流す涙を消すために

傘もささずに駈けて行く


6月の雨は

道端の紫陽花を輝かせ

青や紫の妖艶な色変わりが

今の切なさに

なお切なさを重ねて

心を濡らす


どうして別れがあるのだろう

愛しているのに傷つける

愛しているのに背を向ける


もうちょっとお互いを許せたなら

もうちょっとお互いを思い遣れたなら

きっと一緒になれたはず


まだ若かかった

ありふれた言葉だけれど

否定できないもどかしさ


この別れが

次の出会いを育み

大人の恋を演じさせるのか


またひとつずるくなり

純な心が消えて行く


もうちょっとお互いに我慢できたなら

きっと一緒になれたのに


駈けても駈けても

雨はなお切なく心を濡らす


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