雨の降る朝
君にさよなら
三年暮らしたアパートを
振り返りもせずに駈けて行く
悲し過ぎるから
流す涙を消すために
傘もささずに駈けて行く
6月の雨は
道端の紫陽花を輝かせ
青や紫の妖艶な色変わりが
今の切なさに
なお切なさを重ねて
心を濡らす
どうして別れがあるのだろう
愛しているのに傷つける
愛しているのに背を向ける
もうちょっとお互いを許せたなら
もうちょっとお互いを思い遣れたなら
きっと一緒になれたはず
まだ若かかった
ありふれた言葉だけれど
否定できないもどかしさ
この別れが
次の出会いを育み
大人の恋を演じさせるのか
またひとつずるくなり
純な心が消えて行く
もうちょっとお互いに我慢できたなら
きっと一緒になれたのに
駈けても駈けても
雨はなお切なく心を濡らす
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