「淡い夕焼け」

1999 July25

Words By Kenji Kanno!


夏の陽炎(かげろう)に包まれたような

大きく広がった淡い夕焼けを見た


いつのことだろう

クワガタとカブトムシを求めて

ブナやミズナラの樹液溜りを探して

里山の奥へ奥へと

何処までも入って行った


夢中になり過ぎて

時間も方向も分からなくなり

あっちこっちと途方にくれた帰り道

このピンク色の淡く美しい

今見ている夕焼けを見たのだ


西の方向が定まった

美しさを感じている余裕はない

蝉時雨と徐々に暮れ行く夕焼けに

追いたてられるように

東に向かって走りに走った


見なれた街の灯りに立ち止まり

ハアハアと肩で息をしながら微笑んだ


あの日と同じ夕焼けが

古(いにしえ)の憧れを道ずれに

暮れて行く


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