<映画>
’03 Dec.30 Words By kenhappy !


ちょっと切ない映画を見た
愛し合う者たちが運命により引き裂かれる物語である

彼は飛行機事故により海に墜落
命からがら無人島に漂着した
彼女からもらった写真入の懐中時計
その写真を毎日眺めながら
彼女に会いたさ故に必死に生きた

孤独は恐ろしく人間を疲弊させる
一緒に漂着したバレーボールに
自分の血で顔を描き
ウイルソンと名付け友とした
毎日彼に語りかけることで孤独を癒した
何度も失敗しながら摩擦熱で火を得た
早4年もの歳月が過ぎた

島の周りには大波が発生し
ちゃちなゴムボートでは沖に出ることはできない
ある日のこと帆に使えそうな壊れた部材が漂着する
苦労し脱出用の筏を作った

風が出る季節を待ち
大波を克服し意気揚々と航海に出た
容赦なく嵐が襲う
ウイルソンが流される
助けようにも無理である
彼の名を何度も叫び
バレーボールに親友を失ったようにさめざめと泣いた

出発地点から500マイル流され
やっと貨物船に拾われた

愛しい人はどうしているだろう
身なりを整え風貌は4年前と同じになった
友人が生還を祝う宴を催し
彼女との再開のお膳立てを整えた
しかし彼の前に現れたのは
以前に彼の歯を治療した歯科医だった
「彼女は混乱している」
「君の葬式もし墓もあるのだ」
「その君が突然蘇ったのだから」
「彼女は今私の妻なのだ」
彼は呆然と立ち尽くすだけだった
しかし恨む気持ちなどさらさらない
深く彼女を愛しているだけだ

彼は懐中時計を握り締め
雨の夜半に車を彼女のもとへ走らせた
彼女は車の音を聞きつけ
彼が扉を開ける前に部屋に招き入れる

「壊れてしまったがこの懐中時計を返しにきた」
「あなたにあげたものよ」
「君のおじいさんのものをいただいたのだから君が持つべだ」
「そんなこと気にしなくていいのよ」
女の子の写真を見ながらつぶやく
「可愛い子供だね一人じゃなくもっと産むべきだよ」
「家のローンが大変でまだ無理よ それより見せたいものがあるは」
ガレージに行く
そこには墜落する飛行機に乗るために空港まで送った
二人の車があった
「あなたの車よ 忘れられない二人の思い出が一杯詰まっているわ」
「乗って帰ってもいいのかい 乗ってきたタクシーはもう行ってしまったし」
「ええいいわ キーよ」
彼は雨の中 車をガレージから走らせた

視界から消え去ろうとするとき
彼女は何度も何度も彼の名を叫び
走って車を追いかける
彼が気づき車を止める
強く抱き合いキスをする
「誰よりも愛しているよ」
彼が言う
「私もよ」
彼女が応える
彼は彼女を車に乗せて言う
「家に帰りなさい」
彼女は頷いた

儘にならない悲しさはあっても
深い愛が脈々と流れていた
肉体を超えた永久の愛である


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