「映画を見た」

2000 Feb.22

Words By Kenji Kanno


久しぶりに映画を見た

完全懲悪の物語である

弱気を助け強気を挫く

典型的な正義の物語である

にも拘わらず

この感動は何なのだろう

使役や徴税に苦しむ農民を助け

悪辣な支配者に鉄拳を振り下ろす

そのヒーローが支配者に捕らえられ

妻を殺され娘を奪われる

そして深い悲しみと憤りを胸に

投獄され20年

リベンジだけを心の糧に生きてきた

脱獄のチャンスに恵まれ

年老いた自分に代わる後継者を育て

ついには支配者を倒し

リベンジを果たす

娘は父の伝説を継いだ男と恋に落ち

ハッピーエンドである

心休まる夫婦愛の温かさ

子供との絆の深さ

甘く切ない恋愛の昇華

兄弟愛の素晴らしさ

友への想い

正義への憧れ

悪への侮蔑

そしてそれらを盛り立てる音楽

すべてにおいてロマンに溢れている

心が開放され大きく大きく広がって行く

これは何なのだろう

人間の心には生来の正義が宿っている

それは思慕の情であり

大いなる愛である

その正義は同じく宿る悪を封印して余りあるのだ

それを露にされるとき

素直な感動に包まれる

人間とは何と素晴らしいものなのだろう!


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