「現実の非現実」
１９９９ Ｍａｒ．１4
Ｗｏｒｄｓ Ｂｙ Ｋｅｎｊｉ Ｋａｎｎｏ！
漣ひとつない
コバルトブルーを
水面に湛え
鮮やかな広がりを見せる
神秘の湖オンネトー
今ひとり秘湖に立つ
空の青さと水面の群青
木立の緑と褐色の山肌
ここでは至福の時が
止まっている
早朝の阿寒富士が
まだ優しい朝日を受けて
逆さ富士を湖に映し
双子富士を荘厳に見せる
言葉にならない
言葉はいらない
どんな巧みな人造物も
あなたの美しさでさえ
この自然美の前では
言葉を失い平伏すのみ
秘湖は秘湖のまま
一生消えない
魔法のカンバスに描き
再び現実に帰る今日
紛れもない現実の
非現実を心の糧として
癒しの旅を終える