「現実と青春」

1999 Aug.21

Words By Kenji Kanno!


胸がキュッと締め付けられて

堪らない思いに駆られることがある


ラジオから流れる

S&Gの「明日にかける橋」を聞いたとき


70年代の青春を

まざまざと思い出すからだ


何に悩むというような

確たるものがあるわけではない

何事に対しても

侭にならないもどかしさを感じ

漠然とした不安を持っていた


その感覚が

青春の琴線に触れる

メロディー聞いて蘇るのだ


幾重にも歳を重ねて

忘れかけていた初心な思いに

ノスタルジーを

感じているからかもしれない


自分の殻に閉じこもり

孤高の人であることが

自分を主張する証であり

それを押し通した若さに

嫉妬しているからかもしれない


漠然とした悩みの中で生きる青春に

戻れるわけもない


年輪のひとつひとつは

過去のものとして

確定された生きる知恵の輪だが

不確定そのものの青春に憧れる

老いた自分がいる


ラジオから流れる

「明日にかける橋」は

現実と青春の

タイムトンネルにかかる橋である


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