「不思議の世界」

2000 Feb.27

Words By Kenji Kanno


鶏が先か卵が先か?

この命題を解明できれば

宇宙の始まりは白日のものとなる


我々は不思議の世界に生きている

特に興味を示さなければ

何の疑問も生じることはないが

この世の理を知りたいという欲求は

ごく自然なことであり消えることがない


我々が生きる空間もそこに流れる時間も

絶対的なものではなく常に揺らいでいる

我々が今ここに存在することによって

空間は歪められ時間は遅く流れる

時空は相対的に動いているのだ


正確な時計を持って

あなたはわたしに向かって

わたしはあなたに向かって

走り寄る

わたしから見たあなたの時計

あなたから見たわたしの時計は

互いに遅れて見えるのだ

光速に近づけば近づくほど

質量が大きければ大きいほど

時間は遅く流れ

空間は歪められる

アインシュタインの相対論が証明していることである

巨大恒星の末路は

ブラックホールとなるが

凄まじい重力によって

空間が歪められ

底無し穴の周りは

事象の地平で囲まれ

その先は隔絶された世界で

知る由も無い

そこでの時間は

ほとんど止まっているに等しい


宇宙はビッグバンにより始まり

すべての存在はそれ以後に発生し

今日に至っている


しかし科学は

ビッグバンがどうして起こったかという

大命題の解答を用意してはいない

すべてはそこから始まったのであり

そこは特異点として

すべての法則が無となる

正に神の領域なのである


我々の存在する不思議の世界は

無から生じたと

最新の科学は説き始めた


その無から生じた宇宙は

10のマイナス33乗Cmという

想像を超えた素粒子の極小宇宙であるが

エネルギーは極大で

すぐに膨張宇宙へと進化する


その極小宇宙はポッポッと

時空の存在しない無に生じ

そのうちの幾つかが

膨張を始め

我々の存在する宇宙に進化する


ごく真面目な論理で

茶化しているのではない

理論物理学者が

真剣に研究していることなのだ


あなたは

この不思議の世界を

信じることができるだろうか


科学は我々の常識を破壊することで

新しい理を創造してきた

宇宙の理が明らかにされることを

夢見て止まない


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