「評価」

2000 Mar.7

Words By Kenji Kanno


人の心を読むとは

どういうことなのだろう


読む対象となる人の

心に入ろうとするためか

あるいはその人の人間性を

見極めようとするためか

いずれにしても

人の心を読むということは

簡単なことではない


笑っているから楽しいのか

しかめっ面をしているから不機嫌なのか

外見をみて判断できたつもりでいても

人の心はそれほど単純ではない


溢れる喜びを悟られないように

しかめっ面をしていることだってある

あまりの悲しさを

笑って誤魔化すことだってある


人間性を判断することにおいては

外見や一般的な常識を

当てはめてはならないのだ


学校でも職場でも家庭でさえも

人の良し悪しを

判断しなければならない社会である


どうしても

人を評価しなければならないのなら

その基準は明確でなければならない


往々にして

評価する側の人間の好き嫌いによって

被評価者の良し悪しが決められがちである

それが人間不信になる

最大の原因のようにも思う


生徒が教師に対して

教師が校長に対して

教育そのものに対して


部下が上司に対して

上司が意思決定機関に対して

会社そのものに対して


子供が親に対して

親が子供に対して

夫婦が互いに対して


強いてはすべての者が

この社会に対して


有形無形の

何がしかの利益誘導のために

人が人を評価するということは

決して大袈裟なことではなく

大変に重みのあることなのだ


もしあなたが

誰かを評価しなければならない立場なら

敢えて機械になることをお勧めする

私情を捨て

評価基準にだけ従うのである


法の基に平等な人間を

区別しなければならないことほど

辛いことはあるまい


できるなら

そのような立場には

なりたくないものである


SelectMenu TopPage