「犬達と自分」
2000 Mar.12
Words By Kenji Kanno
若い頃には溌剌として
山野を駆け巡り
何時間でも遊んでいることができた
その愛犬達も今や12歳
人間に例えれば60歳を超えている
もはや1日の大半を寝て暮す老犬なのだ
階段を昇るにも
一段一段息を切らしながら辛そうである
やがて2階に来ることもできなくなる
歩行も困難となる日が来るだろう
その日はそう遠くない未来である
この犬達に人間の縮図を見ている
生まれてから老いるまでの
すべてを見届けて来た
この犬達に
すでに自分の歳を超えてしまった
この犬達に追いつくのも
間もなくのことなのだ
肉体の衰えを感じはじめている自分には
あと10年後にどうなるかは
僅か2年前の犬達を
思い浮かべれば想像がつく
平均すれば人間の1年は
犬では5年以上に相当するのだ
肉体は年老いても
この犬達に変わらぬものがある
美しい瞳である
子犬から年を重ねて老犬に至るまで
喜怒哀楽の起伏はあっても
寸分も違わぬ純粋で美しい瞳なのだ
このことだけは
人間には真似のできないことであり
愛しさの原点でもある
この犬達の介護は
飼主である自分の役目である
生ある限り愛したい
後3年生きれば長寿であるが
20年でも良いから生きて欲しい
自分の20年後30年後は
誰が介護するのか
それが問題だ
1日でも良い
妻より先にあの世に行きたい
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