「快不快」

2000 Mar.3

Words By Kenji Kanno


思いの数が多いほど

人は生きていることを実感できる


愛しき思い

捨てきれぬ嫌悪

仕事への情熱

趣味の安らぎ

夢への憧れと挫折


我々は人的物的な

様々な思いの中で生きている

それらのすべてが生きる証なのだ


生きるよりどころは

安らかな愛にあるが

それだけでは生きて行けない


快さの永続は緊張を排除し

心を弛緩させ生きる屍と成す


また緊張の永続は優しさを奪い

心の平穏を麻痺させ

海馬に刻まれた

爬虫類の脳を蘇らせる


平穏も緊張も長く続けば精神を蝕むのだ

平穏ばかりは続かない

緊張ばかりも続かない

平穏は放物線のように下降し

やがて緊張が緩んだ心を引き締め

張り詰めた心の弦を引き

更なる放物線を描かせる

そのリズムにより人間は生きている


不快の後には快となる

占いなどはいらない

人間の心の欲求が不快から逃れ

快を求めてさまようなら

その後に掴むものは快となるのだ

ごく自然の理である


快にあって奢らず

不快にあって嘆かず

生きる証を思いつつ

自然の摂理に身をまかせられるなら

生きることの素晴らしさを

満面の笑みで顕わすことができるだろう


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