「この友情を大切にしたい」

1999 July13

Words By Kenji Kanno!


激しく降りしきる雨の中

ジメジメと湿気がこもり

人の心は滅入りがちだが

 

目を転じれば

生き生きとした

草木の瑞々しさが鮮やかである

 

それぞれの生業や立場の違いで

物事は違って見える

ごく当たり前のことである

 

自分の眼鏡の焦点に

全てを合わせようとしても

他人も自分の眼鏡に

焦点を結ぼうとしている

どちらかが歩み寄らなければ

焦点はぼやけたままである

 

しかし歩み寄りは難しい

 

問題を解く難しさなら

思考が解決する

 

実体の無い心はつかみ所が無く

湧いては形を変える雲のように

自我の海を浮遊している

 

心と心の対話が

実体の無いものに形を与え

友情という有体を創り出す

 

心と心の対話には

身体という

五感を持った有体はいらない

 

飛び交うデジタル信号があれば

心は強く結びつき

離れることはない

 

心の有体を創り出すために

実体の無い信号を利用する

面白いパラドックスである

 

心を知り得た友情は強固である

変えようのない

無粋な身体を後に晒しても

笑って許せる

 

この友情を大切にしたい


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