「海のモニュメント」

1999 Oct.2

Words By kenhappy


東シナ海の深海に眠る

巨大な海のモニュメント


終戦から一桁の

戦後派の心を捉えるのに

模型で見る神秘の勇姿は

あまりにも美しかった


まだ日本海軍の象徴として

広く語り継がれた時代である


巨大戦艦大和


戦後派一桁なら

誰もが知っていた

その儚い運命


50年を超えて

今や伝説となったその物語が

現実のものとなった


映像が最後の断末魔を

白日の下にさらす


全長263mの船体は

真っ二つに折れ

艦尾から180mは

船体に大きな穴をあけ

ひっくり返って

腹を見せている


艦首から90mは45度に傾き

かろうじて原型を留めている


世界に二つとない

三つの主砲45Cm砲は

ひっくり返って海底に刺さっている


何と哀しい最後であろうか

不沈艦といわれた

海に浮かぶ巨大な要塞の

最後の姿である


敗色濃い昭和20年4月7日

戦艦大和は

国のために覚悟を決めた

15才の少年兵も含め

3000人の乗組員とともに

沖縄特攻という死の戦に赴いた

1000m上空に暗雲立つ

不吉な日であったという


やがて東シナ海において

死闘が演じられる

戦艦であるために

艦上機を持たない

大和の劣勢は明らかで

次から次へと

魚雷が船体に損傷与える


やがて浸水し船体が傾き

ひっくり返って

大爆発を起こし沈没する


この戦いに関わった敵の戦闘機は

1000機であったという


涙が溢れた

止めど無く涙が溢れた


ただ見れば鉄の残骸だが

そこには3000とおりの

切ない物語があると思うと

涙を止めることはできなかった


艦首の1.5mの菊の紋章

日本の象徴が白々しく見える


この3000人の物語を

今の日本人は忘れてはいまいか

決して過去の亡霊ではない

3000人の人柱を心の礎を

大切に受け留めて欲しい


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