「無常を愛する」
1999.May21
Words By Kenji Kanno!


独りで落ち込みたい時がある

恋愛の破局に
仕事の辛さに
人間関係の気まずさに

滑らかな酒が
疲れ果てた心を
惑いの世界に誘う

こんな時は
人情の優しさを遠ざけ
ありふれた慰めよりも
切なさに身を投げ出して
孤独の闇に落ちて行く
無常を愛する我がいる

グラスを煽るほどに
澱はさらに厚く心を閉ざす

誰を責めても意味がない
すべては我のなし得る業

闇は漆黒
何も見えない
見えない世界を愛しても
得るものなど何もない
奈落の底に落ちるがいい

まだかまだ落ちるというのか
もういいだろう
意味のない闇にしがみついて
独りで苦しみを愉しんで何になる

間違った処方箋は
一時凌ぎの麻薬に過ぎない

酒をコーヒーにかえて
人情の優しさに身を投じるがいい

独りの愚かさが身に染みて
友の素晴らしさが
心の澱を溶かすだろう
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