「成り行きが人生」

’00 Nov.25 Words By Kenji Kanno!


毎日映画を見ている

見終わって心から感動できる映画は少ない

単に時間つぶしをしているだけなのか

感動できないのは

自分の心の狭さの現われであるに違いない

少なくとも作家は何かを伝えたいに違いないのだから


今日見た映画も全体的にはありふれたストーリーである

昔の恋人が10数年振りに故郷に仕事で帰って来た

既に故郷に残った彼は結婚し子供もいるが

心は仕事での夢を追い充足していない

彼女は自他ともに認めるキャリアウーマンであるが

他人に見せることのない心は孤独に喘いでいる

そんな二人が互いを求め昔の愛を取り戻すかのように燃える

彼女は自分の心の穴を埋めようと彼を求める

彼は彼女とともに仕事を仕上げることが至福となる


彼女の父が諌める

彼には家庭があるのだ

彼女は言う

成り行きでそうなったに過ぎないわ

私がここに残ったなら

彼と私が夫婦になっていたはずよ

成り行きではない今の現実が大事だわ

父が力強く言う

「成り行きを選択するのが人生だ」

この台詞にはドキッとするものがあった

いわば感動があった

この台詞のように人は生きている

そう実感できた


人生には様々な葛藤があり

そのそれぞれの場面で

人は選択を迫られる

夢や希望を力で勝ち取ることは稀である

成り行きを選択することは

もちろん本意ではないとしても

夢を追うことは他に何らかの犠牲を強いることにも成りかねない

人生には我慢が大事である


この物語りの結末は

彼は彼女を愛していたが

妻と子供の愛を守った

彼女は彼の愛を心に留めて

飛び越えられない現実を理解し

成り行きの人生を選択する

切ない結末ではあるが

これが正に現実であり

恋愛という男女のなかだけでは

人生は歩めないことを示唆している


これが人間ドラマである


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