「年齢不詳」

2000 Mar.26

Words By Kenji Kanno


20歳の時も

30歳の時も

40歳の時も

50歳に近い現在も

精神年齢に変わりがあるのだろうか


いつの時も自分の歳というものに

自身が持てない

20歳の学生の時に

やっていたことを

今でも何の疑問も感じることなく

やっている


好きなことに年齢の垣根など

ある筈もないが

当時と同じ気持ちになって

好きな対象を追い掛けている

自分を感じて苦笑してしまうのだ


もちろん過ぎ去る時を数えるほどに

40代には40代の年輪がある

20代と同じということはないのだが

好きなことを追いかけている時には

そこで時間は止まっている


心情的には20代も40代もないのだ

きっと50代や60代になっても

好きなことをやる時には

年齢というものを意識することはないだろう

このことが幾つになっても

歳に自信の持てない理由なのかもしれない


しかしそれがあるからこそ

幾つになっても

臆することなく

詩や音楽を創作できる

原動力が生まれるのだろう


通常ならば羞恥心が先立ち

自分の心を開示する創作意欲を

殺いでしまう


無意識の内に歳を意識することを止め

年齢不詳になるのだ

それは一般的な人間には

精神的な幼さに見えるかもしれない


いっぱしの芸術家を気取るにも

努力がいるということか


しかし趣味の世界の素晴らしさがここにある

社会的にはどう言い訳をしてみても

40代は40代であり

10代にも20代にも戻れない

40代には40代の見識が求められるのだ


年齢不詳の自由な心の旅ほど

素晴らしいものはない


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