「人間の証」
1999 Nov.21
Words By Kenji Kanno!
絡んだ心の糸を解きほぐすには
どうしたらいいのだろう
どうして絡んでしまったのか
ひとつひとつ
その訳を考えてみよう
それは
パソコンを自作するのに似ている
マザーボードという土台があり
決められたスロットにCPUを挿し
ビデオカードやサウンドカード挿す
E−IDEコネクタにHDDや
CD−ROMを接続する
細かい結線はあったとしても
これで総体としてのパソコンが出来上がる
電気を流せば動いてくれる
こんがらかった心は
ある程度までは
パソコンのように
誰でも解明することができる
しかし
マザーボードやHDDそのものを
理解することは難しい
その道のスペシャリストでなければ
作り出すことは出来ないのだ
果たして心のスペシャリストは
絡んだ心の糸を
すっきりと解きほぐすことが
出来るのだろうか
こんがらかった心にも意思がある
パソコンのようなハードの意思は
目的とする役割のみである
それ以上でも以下でもない
単純明快なのだ
心の意思は摩訶不思議
深淵で触れるこが出来ないものである
何にも増して知らず知らずに
絡もうとして絡んだ自業自得の意思が
居座っているものである
スペシャリストといえども
貝のように頑なな心を
開かせることは難しい
誰も頼ることは出来ないのだ
他人の心の深淵を
覗くことができないように
自分の心は自分だけのものである
それが心そのものの理であり
世界にただひとつの自我となる
すべては己に帰属する
絡んだ糸の
硬い結び目を解きほぐすのは
己しかいないのだ
誰も手助けできない
心の理があればこそ
人間は尊厳をもって生きて行ける
悩みさまよえ
人間の証がそこにある
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