「オニヤンマ」

1999 Aug.17

Words By Kenji Kanno!


オニヤンマが2匹

池の周りを優雅に飛んでいる


晩夏の夕暮れに

何とも言えない風情を感じる


幼い頃には

そこかしこにあった自然に

オニヤンマもギンヤンマも

ありふれた光景だった


時は移ろい身近な自然が消えて行く

夏から秋の虫たちの季節に

彼らに巡り合うには

何時間も彼方へ行かなければならない


ならばその自然の中に居を構えればいい

そうして15年

我が家路の自然は格別である


オニヤンマが散歩道の小枝にとまった

息を殺し尻尾に意識を集中する

心の何処かで逃げろ逃げろと叫んでいた


尻尾を掴む瞬間に

オニヤンマは優雅に逃げた


良かった良かった

心の中で呟いた


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