「愚かさと賢さ」

1999 June18

Words By Kenji Kanno!


何に対する愚かさで

何に対する賢さなのだろう

 

人間の向かう対象は何なのか

 

同じ人間と比較して

愚かというのだろうか

賢いというのだろうか

 

否である断じて否である

 

人間は押し並べて愚かである

人間に対して愚かなのではなく

人間そのものが愚かにできている

 

男と女が恍惚を求める行為に至るとき

その過程を止めることができないように

抗うことのできない本能に支配されている

 

人間は押し並べて賢い

人間に対して賢いのではなく

人間そのものが賢くできている

 

星が夜空を巡る不思議を想い

地球が自転し太陽を公転する様を想像し

銀河の故郷を眺め宇宙の大海原を認識するに至った

地球の子の誕生である

 

愚かさは人間が種を維持するために必要とした

Sollen(ゾルレン)である

闘争がなければ食はなく

恍惚がなければ種は誕生しない

権謀術数がなければ生き残れなかった

過酷な時代の当為である

 

賢さは愚かさと対峙し葛藤の中で常に自戒し

理性をもって高処を追求しようとする

Sein(ザイン)である

人間そのものの存在が賢さの象徴であり

Sollenを凌駕して余りある

 

愚かさも賢さも人間そのものに内在する心である

愚かさには常に賢さが対峙している

それは万有引力のように打ち消しあって

美しい心を創造する

 

愚かさも賢さも人間そのものであり

生きるための糧である


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