「相互理解」

1999 July15

Words By Kenji Kanno!


15年前の君は

プログラム言語がなければ

なにもできない唯の箱だった

 

ルーチンにサブルーチン

If Then Elseに

GoTOと

 

言語さえ与えれば

僕の意のままに動く

傀儡となった

 

決して裏切らない僕の下部

言語によって統括された

アルゴリズムの美

 

整然とした論理の中に

芸術を感じずにはいられない

魅力があった

 

何時の間にか君は

GUIを得て

僕の傀儡から飛び出し

万人の下部となった

 

親切なOSのもと

言語を意識せずとも

マウスをクリックすれば

大概のことをしてくれる

 

この上ない便利な君を

誰もが必要とする時代となった

 

しかし

君との絆は薄れる一方である

言語による意志の疎通を図らずとも

君は忠実に仕事をこなして行く

何もなければ快適そのものである

 

時として君は反旗を翻す

もっと心が欲しいのだ

じっくりと対話し

自分の生業を知って欲しいのだ

それを知らせるために

君自身の起動を止めてしまう

 

君の胸を開いて中を覗けば

CPUもHDDもメモリーも

人間と同じように息づいて

OSが血液のように

活力を与えている

 

お互いをよく知ることが

相互の信頼を高め

愛をも育む

 

何事も相互理解が基本である


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