「月夜のピアノ」
1999 Apr.11
Words By Kenji Kanno!


月夜のピアノが
少年の忘れていた憧れを
郷愁のように思い出させる

それは幼い日に聴いた
憧れそのもの

忘れずの山で聴いた
月夜のピアノ
幼き心に哀愁を湛えて響く

安らかな母の温もりに似て
少年の心に
穏やかな情感を積もらせる

いつしか
少年はピアノに向かい語り掛ける
叩く鍵盤のひとつひとつが
心の分身となり応えを返す

あの日に聴いた哀愁は
どこに行ったのだろう
大人になった少年には
もはや知る由もない

この音だ
いま聴いている哀愁の響き
確かに聴いた憧れのピアノ

いままた聴くことのできたこの音を
ピアノに語り掛けてみよう

憧れの哀愁が
穏やかな情感を蘇らせる
月夜のピアノそのものを

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