「優しくありたい」
１９９９ Ｍａｒ．２8
Ｗｏｒｄｓ Ｂｙ Ｋｅｎｊｉ Ｋａｎｎｏ！
堪らなく切なくなる時がある
愛しながらも別れが来る時
彼岸の出会いに接する時
涙が止まらない
テレビから流れる
恋愛ドラマのもどかしさに
手塩にかけた
保護動物を自然に帰す決断に
老衰で死に行く
コンパニオンアニマルとの別れに
訳ありの肉親との
数十年ぶりの出会いに
涙が止まらない
若い頃には
その場限りの
今よりも鋭い五感があった
しかし
このどうしようもない
胸苦しい切なさは何だ
歳を重ねるほどに
人情の素晴らしさに感動し
切なさを生む
優しくない自分の
優しくありたいという心が
演じられる
自然のドラマのシナリオに
自分を当てはめ
涙の証に安堵する
切なさは
優しくできない
自分の弱さの裏返し
人情の素晴らしさが
身に凍みる